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コストの動向
EM2602

エネルギーコスト負担、高水準の定着とピーク更新

2026年の日本経済のエネルギーコスト負担は51.6兆円と、2015–19年平均の36.9兆円を14.7兆円上回り、2022年に記録したピーク(50.3兆円)を超える見通しである。2022年以降、負担はコロナ禍前を大きく上回る水準が続いており、2026年はその水準からさらに切り上がる。米エネルギー情報局の予測(2026年8月)では、原油価格は年末にかけて緩やかな低下傾向にあるものの、2025年末比では2割以上高い水準にとどまる。加えて11月からの託送料金の引き上げとその電気料金への反映が見込まれ、年末にかけて高水準が継続するとみられる。ここでの負担額は、家計・企業が直接支払う48.5兆円に、補助金として税等を通じて負担される間接分を加えたものである。直接負担額でみても、2022年の47.6兆円を0.9兆円上回る。

2026年のエネルギーコスト負担総額はコロナ禍前の水準を14.7兆円上回る見通し。2015年1月–2026年12月における最終エネルギー消費額の月次推移(直接負担額と負担総額)。単位:兆円/月。上側の線は負担総額、下側の線は直接負担額。水平の実線はコロナ禍前(2015–19年平均36.9兆円/年)の月額換算値。出典:ECM Database 202608。
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エネルギーコストの動向
EM2611

電力コスト負担、補助後もかつてのピーク水準に

電力料金への補助は2023年以降、支援単価と実施期間を変えながら断続的に実施されてきた。補助金は需要家の当面の料金負担を軽減する一方、その負担の一部を需要家から納税者一般へ移すものである。家計・企業が料金として支払う直接負担額に、補助金等を通じて税等で負担される間接分を加えた電力コスト負担総額は、2026年には23.5兆円と、コロナ禍前(2015–19年平均:17.2兆円)を6.3兆円上回り、これまでのピークだった2023年(22.7兆円)も0.8兆円上回る見通しである。直接負担額も22.7兆円に達し、2023年の負担総額と同水準になると見込まれる。電力需要の短期的な価格弾力性は小さいことから、料金上昇は需要調整よりも、家計の実質所得や企業収益の圧迫として現れやすい。補助金による負担の移転のみではなく、既存電源の活用、燃料調達、系統・制度費用を含め、電力コストが高止まりする要因を供給側から検証する必要がある。

2026年の電力コスト負担総額はコロナ禍前を6.3兆円上回る見通し。2015年1月–2026年12月における電力消費額の月次推移(直接負担額と負担総額)。単位:兆円/月。上側の線は負担総額、下側の線は直接負担額。水平の実線はコロナ禍前(2015–19年平均17.2兆円/年)の月額換算値。出典:ECM Database 202609。
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エネルギーコストの動向
EM2615

名目単位エネルギーコスト、コロナ禍前を36%上回る

EM2602では、日本経済のエネルギーコスト負担総額が2026年に51.6兆円へ拡大する見通しを示した。しかし、負担総額には経済活動量の変化も影響する。そこで、名目エネルギーコストを実質GDPで除した名目単位エネルギーコスト(Nominal Unit Energy Cost:NUEC)をみると、2026年8月の負担総額は、2026年第2四半期価格で測った実質GDP1万円当たり763円となり、コロナ禍前(2015–19年平均)の560円を203円、36%上回った。これは、これまで最も高かった2022年平均の752円を上回る。補助金等による料金抑制を反映した需要家の直接負担額も704円と、2022年平均の712円は下回るものの、コロナ禍前を144円(26%)上回る。経済活動量を調整してもエネルギーコストは大幅に上昇しており、補助金による負担の移転にとどまらず、コスト抑制を重視したエネルギー政策へ転換する必要性が高まっている。

2026年8月の生産量当たりのエネルギーコスト負担は2022年平均を上回る。2015–25年と2026年8月における名目単位エネルギーコスト(直接負担額と負担総額)。単位:円/実質GDP1万円(2026年第2四半期価格)。水平の破線はコロナ禍前(2015–19年)平均値。出典:ECM Database 202609。2026年8月の実質GDPはJMGDP 202609。
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エネルギーコストの動向
EM2618

エネルギー価格抑制補助金、累積15兆円を超える

石油製品・電力・ガス向け価格抑制補助金は、2026年10月末に累積15.3兆円に達する見通しである。石油製品は9.7兆円(63%)を占め、電力4.4兆円、ガス1.2兆円が続く。累積額は2022年末の2.7兆円から、増加幅が最大だった2023年末には7.3兆円へ拡大した。当初、予見困難なエネルギー価格の急騰から家計・企業を守る激変緩和措置として意義があった。しかし、終了条件が不明確なまま反復され、巨額の財政負担を伴う価格維持策へ変質している。10月29日、12月–翌年2月使用分の電気・ガス代への補助が表明された一方、ガソリンは基準価格を毎月5円程度ずつ引き上げる段階的縮小方針が示された。出口設計はなお定まっていない。エネルギー需要の短期的な価格弾力性は小さく、価格シグナル低下による省エネ阻害は、少なくとも短期には限定的と考えられる。より重要なのは、補助が需要家の直接負担を財政へ移し、コスト上昇を見えにくくした点である。特に電力では、料金抑制の反復が洋上風力や送電網増強などエネルギー転換に伴う追加費用の検証を曖昧にし、供給コスト抑制に向けた政策規律を弱めている。

累積補助額の6割超を石油製品向け補助が占める。2022年1月–2026年10月における石油製品・電力・ガス価格抑制補助金の累積額。単位:兆円。出典:ECM Database 202610(推計方法および基礎資料は注を参照)。
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